2011年7月23日土曜日

ブルドックソース

みなさん、ブルドックソース事件はご存じでしょうか?さまざまな教科書にも載っているので、知っていることと思います。今回はそんなブルドックソースVSスティールパートナーズについて考えていきます。
前回任天堂の話をしましたが、ブルドックソースは任天堂と真逆の企業といってもいいでしょう。
前半戦として、なぜスティールがブルドックを狙ったのか、後半戦としてブルドックソースがどのような方法で買収を免れたかを話していきたいと思います。

次の図は岩崎日出俊さんの「M&A新世紀」という本から参照した図です。

少し見づらいのですが2000年の段階で株価は約600円です。発行株式総数は1億9000万株だったので、企業価値は114億となります。この株価が安いのか高いのか、まだこれだけでは判断しかねます。
そして、これがブルドックソースの貸借対照表です。

まずは左側、資産勘定です。ここでは流動資産として現預金と投資有価証券を足してみます(投資有価証券は売却すればすぐ現金が手に入るので、この後は簡略に現預金と表示します)。合計で87億円となります。
この企業を買収する際に114億円以上(実際は買収プレミアムが付くためもっと大きな額が必要となります)必要ですが、手に入れればもれなく87億円現金が楽して手に入るのですから、実際に払う金額は114億円+α-87億円となりおいしい買い物といえるでしょう。

さらにブルドックが失敗している点として、株価を上げることができていないということにあります。現預金87億円から、114億÷2=57億、57億円使って自社株買いを行えば、単純に半分の株を買うことができ、市場に出回る株式数が半減するため、理論上は株価が倍にすることができます。

そもそも、ブルドックが現金を多く持っている理由は何でしょうか?

ブルドックソースが行っているソース事業のリスクは何でしょうか?
新規参入者に対する脅威か? 競合他社の脅威か?

そんなことはないと思います。ブルドックソースって昔からあるし、しっかりブランドができていますよね?

そうです。こんなに現預金を持っている必要がないんです。


そのことを踏まえたうえで、貸借対照表の右側を見てみましょう。
借入金0、その他負債37億、資本勘定164億

借入金がないなんてすごく優良企業じゃないか!!



なんて思わないでくださいね。
企業の資本構成上負債の「節税効果」が入ります(タックスシールドともいう)。
法人税が課されるのは資本勘定ですから、負債勘定には課されません。従って、負債が多いほうが、投資家(株主+債権者)に対するキャッシュフローが大きくなります。

(間違ってたらすみません)

なのである程度までは負債を持っているほうが企業価値は上がっていきます。(あくまである程度です)

その点でもブルドックソースの貸借対照表はおかしかったといえ、株主資本を有効に利用していなかったといえるでしょう。

そんなこんなでブルドックソースはスティールに狙われてしまったわけです。

次回はなぜブルドックソースは敵対的企業買収から逃れることができたのかを見ていきたいと思います。

1 件のコメント:

  1. 負債を用いて経営を行うと、株主資本だけで行なった場合よりも、投資効率が高くなるが、これをレバレッジ効果と呼ぶ。

    たとえば、企業の当初の総資産が2000万円で、その内訳が
    2000万円(総資産)=1000万円(負債)+1000万円(株主資本)
    だとする。この企業の業績が向上したことで、総資産が2倍になると、上の式は、
    4000万円(総資産)=1000万円(負債)+3000万円(株主資本)
    となる。
    株主資本だけで経営を行なっていれば、株主資本は2倍になるだけであるが、負債を用いたことによって、株主資本は3倍になっているのがわかる。

    とまぁ~(゚∀゚ )授業で聞いた話なんだけど、

    FXとかでも、証拠金ってやつを預けて本来の資金力以上の取引ができるってやつもレバレッジっていうし。負債(他人資本)を利用したほうが収益性あがるってことかな(゚∀゚ )

    あと、株主資本と比べて負債には法的に返さないといけない金額ってのが発生するから、これにともなう倒産リスクには注意かな

    もちろん、節税効果にもなるよ

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