2011年7月20日水曜日

任天堂

 
前回のゼミで先生にぼろくそ言われてしまったので、分かりやすく砕いて改めて説明したいと思います。

ここでは前提として敵対的買収者がいると仮定します。

そもそも、どんな企業が買収されるのか、ゼミでも言いましたが、株価に対して現預金を多く持っている企業は狙われやすいです。

なぜか。

株価が安い企業(ここでは株式総額を50億円とします)が現預金をたくさん持っていると(現預金総額30億円とします)この企業を買収し、現預金を全て回収してしまえば、実質投資額は20億で済むことになります。

また、貸借対照表で考えるとするならば株主資産の6割は無駄に保持していることになります。
これなら余ってる現預金は投資するか、配当金として株主に返せと言われても仕方ありませんよね。
したがって買収した後に現預金を回収か、配当金をあげれば買収者は利益を得るわけです。

これが一般的な現預金を多く持ちすぎてはいけない理由です。

では任天堂はどうでしょうか。

任天堂の現預金は2009年3月31日時点で約7560億円、従業員一人あたりが1億8000万円の現預金を持っていることになり、売上高に対する現預金の割合が41%です\(◎o◎)/!(ちなみに2位のトヨタは12%)
驚愕の数字です!

それでは、なぜ任天堂が敵対的買収者に狙われないのか。

それは、
①株価が高いから
②キャッシュを持っている明確な理由があるから
③人材によって成り立っている企業だから

①の株価が高いというのは、最初に説明したとおり、株価に対して現預金を多く持っている企業が狙われやすいといいましたね?
ここでわかる人もいると思いますが、前述のように、買収の際には株をすべて(または大多数)買い取らなくてはいけません。したがって、株価が高ければ買収費用の縮小が行えないことになります。

②ゲーム業界のような、リスクが高い産業の場合、現預金を多く持っていなければ「勘定あって銭足らず」状態になり、黒字倒産してしまう可能性もあります。任天堂の場合、ゲームボーイとDSの間には15年間ありました(ちなみに販売台数が1億台を超えたのはゲームボーイ・DS・PS・PS2のみ)。
この間現預金たちは会社を支えていたのです。

③また任天堂の経営資源の1つとして貢献していたのが人材である。というのも大きな要因の1つです。企業買収において、人材で企業が支えられている場合は、買収を行うことによって人材がいなくなってしまうことも想定しなくてはなりません。

これらのおかげで任天堂は今のような成長ができていると考えられます。

経営者は合理的な理由があって初めて企業を守ることができるんですね。
(ただ、私は敵対的買収が悪だとは全く思っていません。)

それでは次回は、任天堂と比較して、ブルドックソースの例を何回かに分けて説明していきたいと思います。

1 件のコメント:

  1. ゼミでの課題図書に、現預金を多くしておいて従業員に気持ちの余裕を持たすことでより良いアイデアを出してもらう環境を作る、って書いてあったな~
    まぁこんな経営理念になるには、それなりの年月をかけてる大きな企業でないといけないんだろうけど…

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